遅延型アレルギーとは?

アレルギーの一種である「遅延型アレルギー」についてご存知ですか?
自覚しにくいアレルギーのため、中には原因がわからず症状に悩まされている方もいます。
遅延型アレルギーについて詳しく見ていきましょう。

2種類のアレルギー



そもそもアレルギー反応には、2種類の型があります。IgE抗体による即時型とIgG抗体による遅延型です。IgE抗体によるものは「即時型アレルギー」と呼ばれ、すぐに症状が出るタイプです。一般的に食物アレルギーは、こちらのタイプのことを指します。


一方、IgG抗体は血液中で最も多くみられる抗体で、IgG抗体によるアレルギーは症状が出るまで数時間から数日間かかる場合もあるため「遅延型」と呼ばれます。症状が出るまでに時間がかかるということは、アレルギーの原因が見つかりにくいという特徴もあります。また、即時型に比べて反応が小さいというケースもあり、自覚しにくいアレルギーでもあるので注意が必要です。


即時型アレルギーと判断されなかったにも関わらず、症状が出るという場合は遅延型アレルギーの可能性も疑われます。

遅延型アレルギーの症状


即時型の場合と異なり、遅延型アレルギーの症状は多岐に渡ります。

かゆみや、下痢、嘔吐、呼吸がゼイゼイするなどの一般的に認識されているアレルギー症状でないものも含まれます。さらに精神面への影響なども報告されており、肥満との関連性なども指摘されています。

また、慢性的に不調がある場合には食物アレルギーの可能性も考えられます。一般的に食物アレルギーとされているものは即時性アレルギーで、食べ物を摂取してから30分程度以内に症状が現れるものです。

一方、遅延性アレルギーの場合は症状が出るまでに時間がかかりますが、食物アレルギーによるものもあります。症状が現れるまでに時間がかかることで、原因である食べ物に気づくことができなかったり、場合によっては原因となる食べ物を避けても症状が続く場合もあります。

遅延型食物アレルギーの原因になる食品としては、乳製品、卵、豆類、ナッツ類、米、小麦、などがあげられます。

遅延型アレルギーか判断するためには?


前述の通り、遅延性アレルギーの症状は多岐に渡るだけでなく、症状が出るまでに時間がかかるため、原因が特定しづらいことがデメリットです。遅延型アレルギーかどうか判断するためには、検査をする必要があります。

「遅延型食物アレルギー検査」というものがあり、少量の採血で検査が可能です。どういった食べ物が原因となって症状を引き起こしているのかがわかる検査です。

ただし、日本小児アレルギー学会では、食物アレルギーにおけるIgG抗体の診断的有用性については現段階で公式に認定しておらず、また国内で全ての検査を行うことができません。採取した血液をアメリカへ送り検査をするため、3〜4週間ほど時間がかかります。

遅延型アレルギーの治療


もし、遅延型アレルギーに該当した場合はどのように治療していけばいいのでしょうか。

・食物検査をし、原因となる食物を避ける必要があります。

個々の状況、反応の強さによって対応方法は異なります。6段階にレベルが分かれていますが、レベル4〜6の強い反応が出た場合には3ヶ月から長いと半年間原因となる食べ物を避けなくてはならないケースもあります。

また、レベル3以下の場合は、原因となる食べ物の摂取を4日間のローテーション化する方法もあります。これは腸内の抗体免疫を作らせないためで、摂取頻度が高いとアレルギー反応が悪化する可能性があるためです。このことを「食物をローテーションする」と言います。

・消化吸収機能を徹底的に改善する必要があります。

ぜんそくやアトピー性皮膚炎ではIgE抗体が上昇していることが多いのですが、IgE抗体が低値でも、この症例のように特定の食物に対するIgG抗体が高値であることが比較的多く見られるといわれています。
また、即時型と遅延型(潜在性)の両方のアレルギーを持っているケースも少なくないようです。

遅延型アレルギーでも食べられる食品


遅延型アレルギーと判断された場合、食べることができる食品が限定されてしまうことがあります。しかしながら、近年では様々な商品が販売されており、アレルギーを持っていても食事を楽しめるような代替え食品も増えてきました。

例えば、「スーパー麺」は玄米で作られたグルテンフリー麺です。調理も簡単で、茹で時間は60秒と時短調理が可能です。もともとは、小麦アレルギーを持つ息子のために父親が開発した商品で、特許製法の米粉麺を作り上げました。

原材料として使われているものは、国産玄米と国産ばれいしょのみなので、小麦アレルギーがある方でも安心です。元はラーメンとして開発しましたが、グルテンフリーパスタとして活用する方が多く、調理法によってはうどん、焼きそばなども作れるので、様々なバリエーションで楽しむことができます。

グルテンフリーの食生活に注目が集まっていることもあり、他にも多くの代替え食品が販売されてきていますし、身近な場所で購入できるようになってきました。アレルギーでも食事を楽しめるようになってきていることは、とても良い変化と言えるのではないでしょうか。

遅延型アレルギーは隠れた疾患


遅延型アレルギーについてご説明してきました。一般的なアレルギーと異なり、症状が出るまでに時間がかかる、反応が小さい、症状が多岐に渡ることなどが特徴です。

検査に時間は要しますが、遅延型食物アレルギーの検査を実施しているクリニックもあります。検査で原因となる食物がわかることで治療もできますし、様々な代用品を使うことで食事も楽しみながら治療することが可能です。
隠れた疾患である遅延型アレルギーについて、まずは理解を深めておきましょう。


<参考サイト>
内科・アレルギー科 iクリニック
和(なごむ)皮ふ科クリニック

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